「ネット銀行経済圏」 中小企業に浸透、取引社数は1万社突破 「ネット銀行と取引」の半数、設立10年未満の「新興企業」

資金調達データ

  • 関連ワードネット銀行, 中小企業, 取引社数, 楽天銀行, 調査結果
  • 配信日2024年12月16日 10時00分

資金調達ニュースの概要

プレスリリースによると、近年、ネット銀行が中小企業の金融取引において顕著に浸透してきており、その取引社数は1万社を突破しました。調査を行った帝国データバンクによると、この動向は特に設立から10年未満の新興企業に顕著で、ネット銀行との取引を行う企業の51.06%がこれに該当します。ネット銀行の中でも楽天銀行の取引社数が最多であり、全体の約4割を占めています。また、ネット銀行の利用がコロナ禍を経て増加していることが示され、企業が取引行を変更する傾向が見られ、特に地方銀行からのシフトが進んでいる点が注目されています。

調査では、ネット銀行のメインバンクシェアは2024年時点で0.28%に達し、社数も4197社と前年から増加しており、約27倍の成長を見せています。また、ペイペイ銀行や住信SBIネット銀行など、他のネット銀行も増加傾向にあることが明らかになっています。これにより、地域の中小企業がネット銀行を資金調達の手段として利用する機会が増え、従来の金融機関に対抗する存在としての地位を確立しつつあります。

資金調達ニュースの背景(推測)

このようなプレスリリースの背景には、複数の要因が考えられます。まず、金融機関が厳しい経営環境に直面している中で、特に中小企業への融資がしづらくなっている状況があります。コロナ禍で経営が疲弊した企業は多く、貸出条件が厳しくなっている中、既存の店舗型金融機関からの信頼を失うケースが増えていると推測されます。このため、比較的柔軟なサービスを提供できるネット銀行が選ばれる傾向にあります。

また、低金利の長期化に伴い、従来の金融機関では収益確保が難しくなり、その結果として手数料の引き下げや新たなサービスの提供が求められています。ネット銀行はその特性上、物理的な店舗を持たずに効率的なサービスを展開できるため、コスト面での優位性を持っています。これが中小企業からの支持を集める要因となっています。

さらには、企業のIT化やデジタル化が進む中で、オンラインでの金融サービスの需要が高まっており、特に若い企業や新興企業にとっては、ネット銀行の利用が自然な選択肢となっていることでしょう。このように、環境やニーズの変化が新たな資金調達の形を生み出しているのではないかと考えられます。

資金調達ニュースから参考にすべきポイント(推察)

このプレスリリースから法人経営者や財務担当者が考慮すべきポイントはいくつかあります。まず、ネット銀行の浮上は、これまでのビジネスモデルの変化を示しており、資金調達手段の多様化が進んでいることを意味します。これにより、企業は自らのニーズに最適な金融機関を選択する機会が増えているため、積極的に情報収集を行い、自社に合った金融サービスを見極めることが重要です。

次に、特に新興企業はネット銀行の利用が進んでいることから、スタートアップや若い企業は早い段階からネット銀行を活用することで、資金調達の選択肢を拡げることが可能です。これによって、従来の金融機関に対して依存することなく、柔軟な資金調達が実現できます。

さらに、ネット銀行は人工知能(AI)を活用した融資サービスを導入し始めており、従来の財務諸表に基づく審査をスキップするなど、特にスタートアップへの融資が容易になっています。このような革新を活かすことで、新興企業は迅速かつ効率的に資金を確保できる可能性が高まります。

最後に、今後の金利の上昇や融資環境の変化を見極めることも重要です。ネット銀行が提供するサービスはコスト面で魅力的ですが、条件や金利が変わった場合の影響を考慮する必要があります。また、既存の地銀やメガバンクの動向も視野に入れつつ、自社に取って最も有利な選択を行うことが求められます。ネット銀行との取引を通じて、柔軟な資金調達を実現し、変化する市場環境に適応していくことが、法人経営者や財務担当者にとって重要な課題となるでしょう。

「ネット銀行経済圏」 中小企業に浸透、取引社数は1万社突破 「ネット銀行と取引」の半数、設立10年未満の「新興企業」全国企業「メインバンク」動向調査(2024)株式会社帝国データバンク2024年12月16日 10時00分1photo by pixta.jp
人口減少や超低金利の長期化による収益環境の悪化など厳しい経営環境が続いてきた金融機関は、政策金利の引き上げなどが追い風となり収益が改善しつつある。一方で、割安な手数料や横断的な各種サービスで顧客囲い込みを図るネット銀行が台頭してきている。こうした環境下において、従来の貸し出しシェア競争から一線を画し、コロナ禍で疲弊した中小企業の経営を立て直すといった役割が地域金融機関に求められており、中小企業の「メインバンク」の選択にも影響を与える可能性がある。

帝国データバンクでは、2024年10月末時点の企業概要データベース「COSMOS2」(約147万社収録、特殊法人・個人事業主含む)をもとに、企業が「メインバンク」と認識する金融機関を分析した。一企業に複数のメインがあるケースでは、各企業が最上位として認識している金融機関をメインバンクとした。同調査は2023年12月に続き16回目。

<調査結果(要旨)>

シェアトップは「三菱UFJ銀行」の9.3万社 メイン社数増の最多は「埼玉りそな銀行」

「地方銀行」のシェア、全業態でトップの40.28%も11年ぶりに前年比低下

「ネット銀行経済圏」 中小企業で拡大 取引社数は1万社突破、最多は「楽天銀行」

1行単独「シェア過半」、20県 長崎県:十八親和銀行は全国で唯一シェア80%台

[注] 本調査は帝国データバンクが独自に調査・保有する企業概要データベース「COSMOS2」に収録された企業データであるため、各金融機関がメインとして認識する実数と異なる場合がある

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出典 PR TIMES

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