「脱毛サロン」倒産、2024年は14件発生 過去最多を更新最大27万人の利用者が2年以内に被害 「通い放題」に曲がり角

資金調達ニュースの概要

2024年における脱毛サロン業界での倒産が増加し、特に法人経営者や財務担当者にとって注意が必要な状況が浮き彫りになっている。2024年11月までに観測された倒産件数は14件に達し、これは過去最多の記録である。この背景には、出店費用や広告費の高騰、業界内での競争の激化、顧客獲得のための資金投入の失敗などが挙げられる。特に、利用者数としては最大27万人が影響を受けているとされ、業界の信頼性が揺らいでいる状況となっている。特に医療脱毛クリニックへの参入や、固定費の回収困難さが事業継続に深刻な影響を及ぼしており、今後も倒産が続く可能性が高いとされている。資金調達の観点からも、これらの倒産は直接的なリスクとして企業に影響を及ぼす要因となる。

資金調達ニュースの背景（推測）

この倒産の増加背景には、いくつかの主要な要因が考えられる。第一に、脱毛サロン市場自体が縮小傾向にあり、2024年の市場規模は1423億円と予測されており、前年を下回る見込みである。業界全体の成長が鈍化する中で、脱毛サロン各社は新規顧客獲得のために高額な広告費を投じているが、それに見合った集客が実現できていない。結果として、固定費の回収が難しくなり、事業運営が厳しくなっている。

第二に、医療脱毛の進展と価格競争が激化している。美容クリニックの参入により、従来の脱毛サロンに対する競争が激化し、単純に価格を下げるだけでは顧客を引き付けられない状況が続いている。加えて、顧客信頼を揺るがすような大手の倒産が小規模な医療脱毛クリニックにも影響を与え、業界全体の信用低下に繋がっていると考えられる。

さらに、経営資源の配分や財務戦略の失敗も無視できない要因である。企業が計画的に資金調達を行えず、急報的な状況に対処できないまま経営が続いたことが、倒産を招く一因となっている。具体的には、前受け金を集めるビジネスモデルに頼りすぎたことや、過剰な出店計画が会社を圧迫する結果となっていた。

資金調達ニュースから参考にすべきポイント（推察）

これらの倒産事例から、法人経営者や財務担当者が参考にすべきいくつかの重要なポイントが浮かび上がる。第一に、資金調達の慎重さが求められる。特に借入に頼るのではなく、売上の安定化や現金フローの管理を最優先とし、資金繰りを確保するための対策が必要である。事業計画において、可視化可能な数値目標を設定し、長期的に持続可能なビジネスモデルの確立が重要である。

第二に、競争環境の変化に迅速に対応する能力が求められる。市場のトレンドや競争状況を常に把握し、サービス内容や価格、マーケティング戦略を見直す柔軟性が必要である。特に、顧客のニーズの変化や新たな参入者の影響を受けやすい業界特性を考慮しながら、自己改革を行うことが重要である。

第三に、顧客との信頼関係を構築する戦略が欠かせない。顧客からの信頼を得ることでリピーターを増やし、安定した収益基盤を確保する必要がある。このためには、サービスの質や顧客対応の質を向上させるとともに、透明性のある経営方針を徹底することが重要である。

最後に、事業のリスクマネジメント体制を強化することも大切である。潜在的なリスクを事前に把握し、倒産のリスクを低減するための計画を策定することは、今後の不確実性に対処するためにも不可欠である。これらのポイントに留意し、資金調達や戦略的な経営の意思決定に取り込むことで、倒産のリスクを軽減し、持続可能な事業運営を実現することが目指される。

「脱毛サロン」倒産、2024年は14件発生 過去最多を更新最大27万人の利用者が2年以内に被害 「通い放題」に曲がり角「脱毛サロン」の倒産動向（2024年1-11月）株式会社帝国データバンク2024年12月12日 12時18分3photo by pixta.jp
帝国データバンクは、「脱毛サロン」の倒産発生状況について調査・分析を行った。

＜調査結果（要旨）＞

「脱毛サロン」倒産、2024年は14件発生 過去最多を更新

最大27万人の利用者が2年以内に被害 「通い放題」に曲がり角

集計期間：2024年11月30日まで集計対象：負債1000万円以上法的整理による倒産調査機関：株式会社帝国データバンク

「脱毛サロン」の倒産増加が続いている。エステ脱毛や医療脱毛を中心とする「脱毛サロン」の倒産（負債1000万円以上、法的整理）は、2024年11月までに12件発生した。既に前年の11件を上回って過去最多を更新したほか、12月に破産となった「アリシアクリニック」運営の美実会などを含めると、年間の累計件数は14件が見込まれ、今後さらに増加する可能性がある。

2023年以降、脱毛サロン業界では女性専用の脱毛サロン「シースリー」や「銀座カラー」、男性専用サロン「ウルフクリニック」など、店舗を全国に複数展開する中・大規模の企業で相次ぎ破たんした。24年12月には医療脱毛大手の「アリシアクリニック」運営法人が破産を申請し、負債・利用者の規模ともに過去最大の倒産が発生した。

アリシアクリニックだけでも利用者9万人に影響が及ぶほか、直近2年間で少なくとも27.1万人の利用者が経営破たんによって被害を受けたとみられる。が困難になって事業継続を断念する脱毛サロンやクリニックの倒産が目立った。

国内の脱毛サロン市場は、2024年に推計1423億円と前年を下回る水準が続くなかで（