資金調達データ
- 関連ワードカクタス・コミュニケーションズ, 即時オープンアクセス, 研究者, 調査, 論文
- 配信日2024年10月24日 15時00分
資金調達ニュースの概要
2024年10月24日に発表された報告書によると、研究者の71%が日本における論文の即時オープンアクセス(OA)義務化方針を知らないことが明らかになった。この調査は、2025年度の公募分から競争的研究費による研究論文の即時OA義務化が閣議決定されたことを受けて行われたもので、1,012名の研究者を対象にしたもの。調査の結果、即時OAに関心を持ちつつも、支持は35%にとどまり、51%が積極的にOA化を進めたいと考えていることが分かった。また、研究者の60%がグリーンOAを推奨する機関リポジトリの存在を知らず、多くが投稿費用の高騰について懸念を抱いている。このことから、研究者への情報発信と負担軽減のための支援が急務であるとの結論が導かれた。
資金調達ニュースの背景(推測)
今回の調査結果から、日本の研究者たちが即時OA義務化の方針について十分な情報を得ていない背景には、いくつかの要因が考えられる。まず第一に、研究者が所属する大学や研究機関からの情報伝達の不十分さが挙げられる。大学側が新たに制定された方針や支援内容について、積極的に研究者に周知しきれていない可能性が高い。
次に、研究者たちはOA化の理念には賛同するものの、経済的負担を懸念している点が指摘される。公的支援として賦課される研究費用の中でOAのコストがどのように扱われるのか、明確な説明が不足しているため、研究者が不安を感じている状況が伺える。また、海外のOAジャーナルに投稿する際の高額な APC(論文著者処理料)が、税金によって負担されることに対する反発も存在する。
加えて、全国的に高騰する論文投稿費用や円安などの経済的要因が影響していると考えられる。特に研究予算が限られている中でのOA化推進は、研究者自身の生活や研究活動に一層の圧力をかける要因となるだろう。これらの背景が、OA義務化の支持を弱めている一因となっていると推測される。
資金調達ニュースから参考にすべきポイント(推察)
この調査から得られる教訓として、法人経営者や財務担当者は、次のような点に注目すべきである。まずは、研究者への情報提供の重要性だ。即時OA義務化の方針やそれに関連する支援策について、研究機関や大学がしっかりと情報を周知することで、研究者たちが不安を感じずに選択肢を探れる環境を整える必要がある。
次に、研究経費の適正な運用が求められる。OA化に伴って発生するコストをいかにして研究費の中で処理するか、または別途の補助金制度を設けるかといった方策を検討することが重要である。場合によっては、企業がリーダーシップを発揮し、政府や学界と連携して支援体制を整えることも有効であろう。
さらに、機関リポジトリの利用促進にも注目すべきだ。調査結果では多くの研究者が機関リポジトリの存在を知らないことが示されているため、大学などがこれをハブとして活用できるよう、研究者の理解を促進し、導入支援を行うことが鍵となる。この取り組みにより、OA化のコストを低減し、研究者の負担を軽減することができる可能性がある。
最後に、OA化に伴う論文投稿費用の発生を抑えるため、日本国内での国産OA誌の充実を図るべきだ。海外ジャーナルばかりでなく、日本の研究者が利用できる十分な質と信頼性を持ったOA誌の整備が進めば、経費を抑えつつも研究活動を進める基盤が形成される。
これらのポイントを踏まえ、法人経営者や財務担当者は、今後の研究費の在り方や利用促進につながる施策を検討することが、即時OA義務化に伴う現実的な課題に対処する上で不可欠であると言える。
論文の即時オープンアクセス義務化方針を研究者の71%が知らないことが明らかに。エディテージ、研究者1,012名を対象とした、「即時OA義務化に対する意識調査」の結果を発表― 研究者の方針への理解拡大と、負担軽減のための支援が急務 ―カクタス・コミュニケーションズ株式会社2024年10月24日 15時00分1調査結果要約
研究者向けソリューションを提供するエディテージ(カクタス・コミュニケーションズ株式会社)は、「即時オープンアクセス義務化に対する研究者意識調査」の結果を発表しました。本調査は、2025年度公募分から、競争的研究費による研究論文の即時オープンアクセス(以下OA)義務化が閣議決定したことを受け、研究者支援サービスブランド、エディテージの利用者を中心に、論文出版経験がある研究者1,012名を対象に実施されました。
調査の結果、即時OA義務化の方針を研究者の71%が知らないことが明らかになりました。研究者はOA化に関心が強く、研究を社会に還元する理念には賛同する声が多い一方で、方針を支持する人は35%、積極的にOA化を推進したいと考えている人も51%に留まりました。研究予算が限られる中、高騰する論文投稿費用への不安が現れた結果と言えます。
また、今回の即時OA義務化方針では、論文の著者最終稿を機関リポジトリに公開するグリーンOAが推奨されていますが、所属する大学等に機関リポジトリが「ない」と答えた人が30%、「わからない」と答えた人が28%で、合計すると全体の58%と高いことがわかりました。方針の実施に向けて、研究者への情報発信と理解の拡大、負担軽減に向けた支援が重要であることが明らかになりました。
調査結果を以下にまとめましたのでお知らせいたします。調査結果サマリ
即時OA義務化について、71%の研究者が「知らなかった」と回答。当事者である大多数の
出典 PR TIMES