「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」による資金調達を実施

資金調達の概要

渋谷レックス株式会社は、株式会社東邦銀行との間で「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」（PIF）契約を締結し、融資が実施されました。このプロジェクトは、東邦銀行にとっての第一号案件であり、契約締結は2024年8月30日、融資額は50百万円、資金使途は事務所改装にかかわる設備資金となっています。PIFとは、企業の活動が経済・環境・社会に与える影響を総合的に評価し、ポジティブなインパクトを増大させることを目的とした融資手法であり、融資先企業のKPIの設定やモニタリングを行うことで、その効果を高めていくものです。

渋谷レックス株式会社は、食料品卸売や小売、EC事業など多岐にわたる分野で活動しており、今後は社員の働きやすい環境を整え、サステナブルな企業活動を進めるための重要なステップとして、PIFの導入が考えられました。具体的には、社内活動の強化に向けて「GROW × GLOW UPプロジェクト」を立ち上げ、行動指針の浸透を図る取り組みを進めるとともに、サステナビリティに関する活動を外部機関とも連携しながら推進していく姿勢を見せています。

資金調達の背景（推測）

渋谷レックス株式会社がPIFを導入した背景には、経営理念や中長期ビジョンの明確化と、それに伴う企業の成長戦略があります。「流通の力で食文化を育てる」という理念は、企業の社会的責任を果たすだけでなく、社員を育成し、持続的に成長するための基盤を築くことを目指しています。また、「チャレンジする風土の継承」という中長期ビジョンは、現代のビジネス環境において求められる柔軟性や革新性を強調しているとも考えられます。

特に、働きやすい環境の整備や、環境への配慮は、現代の企業が取り組むべき重要なテーマであり、これらを前面に出していることが、PIFの導入につながった要因と思われます。加えて、近年のCSR（企業の社会的責任）やESG（環境・社会・ガバナンス）の重要性が高まる中で、外部からの評価や透明性が求められる時代において、PIFを通じて利害関係者との関係を強化し、自社の信頼性を高める戦略があったと推測します。

さらに、渋谷レックスは地域貢献や持続可能性に向けた活動も進めており、地域社会に対する責任を重視している点も背景に影響を与えていると考えられます。このような理念や行動が、PIFへの取り組みの真の動機になっているのではないでしょうか。

資金調達が成功した理由（推測）

資金調達が成功した理由として、いくつかの要因が考えられます。まず、まず、企業の理念とPIFの目的が強く一致している点です。渋谷レックス株式会社は、自身の企業活動が持つ社会的なインパクトを真剣に考えており、多様な視点からの評価を受け入れる姿勢を持っています。したがって、PIFによる融資が企業の成長を支える有効な手段として選ばれたと推測できます。

次に、KPIの設定やモニタリングといった具体的な取り組みがあるため、融資側でも安心して資金を提供することができたのではないでしょうか。PIFは、その名の通りポジティブな影響を重要視しているため、事業計画や目標に対する具体性が高い企業に強い関心を持つ傾向があります。渋谷レックスは、KPIを自身の活動に直結させることで、実行可能であり、透明性を確保する体制を整えています。これにより、融資元である東邦銀行の信頼を得たと考えられます。

また、地域との連携や社会貢献にも積極的である点が、地域の金融機関としての東邦銀行との親和性を高めた要素の一つとも推測できます。地域社会に貢献する企業活動は、金融機関にとっても重要な取り組みであり、地元企業が持つ地域に対する責任感や絆は、資金調達の成功にも寄与しているでしょう。

資金調達の参考にすべきポイント

渋谷レックスの資金調達の成功事例から、多くの企業が参考にできるポイントがいくつかあります。まず第一に、企業理念と資金調達手段が整合していることが重要です。企業のミッションやビジョンを明確にし、その実現に向けた具体的なアクションプランを提示することで、金融機関に対して説得力を持った説明が可能となります。これは、 PIFに限らず、すべての資金調達において言えることです。

次に、KPIの設定とそれを実現するための具体的なアクションを示すことで、融資先企業としての信頼性を高めることができます。金融機関は資金を提供する際、その先の事業計画がどのように続いていくのかを重視します。したがって、測定可能な目標を達成するための具体的方策を示すことで、資金調達の成功確率が高まります。

さらに、地域との関係性の強化も重要です。特に地域密着型の銀行から資金を調達する場合、地域に対する貢献や、地域との連携の姿勢を見せることで、資金調達がスムーズに進む場合があります。企業がどのように地域に恩返しをし、地域経済に寄与するかを意識することで、信頼関係を強化し、資金調達を成功に導く要因になります。

最後に、 ESGへの取り組みやサステナビリティの視点も、今後ますます求められる重要な要素となります。企業活動が単なる利益追求にとどまらず、社会的な側面でも価値を創造するという姿勢は、昨今の消費者や投資家の期待にも応えることで、金融機関からの支持を得やすくなります。

このように、渋谷レックス株式会社の事例は、資金調達を行う上での具体的かつ実践的なモデルケースとして、多くの法人経営者や財務担当者にとって参考となるでしょう。

「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」による資金調達を実施～東邦銀行さま第一号案件として契約締結～渋谷レックス株式会社2024年9月21日 10時30分0渋谷レックス株式会社（以下：当社）は、株式会社東邦銀行（本社：福島県福島市、頭取：佐藤稔、以下：同行）と「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」（以下：PIF）の契約を締結し、融資が実行されたことをお知らせいたします。本件は同行が提供する「とうほう・ポジティブ・インパクト・ファイナンス（ローン型）」の第一号案件となりました。

【当社の概要】
所在地：福島県福島市北矢野目字戸ノ内1番地
代表者：代表取締役社長 澁谷 裕司
設 立：1957年1月
事業内容：食料品卸売、食料品小売、市場開発・商品開発、海外事業、EC企画運営
  

PIFについて
PIFとは、企業活動が経済・環境・社会の3つの側面にもたらすインパクトを包括的に分析・評価し、ポジティブな影響の増大およびネガティブな影響の低減を支援する融資手法です。金融機関が、融資先となる企業の事業活動を分析、達成すべき重要業績評価指標（以下、「KPI」）の設定と取組内容の策定を支援するとともに、達成状況について継続的にモニタリングを実施して頂きます。
当社では、「海外への高品質で安心・安全な菓子の提供」、「多様な人材が活躍できる職場づくり」、「環境配慮への取組み」、「データプライバシーへの取組み」を重要インパクトとして捉え、それぞれに取組方針・取組内容、目標・KPIを設定しました。KPI の達成状況については、同行と一般財団法人とうほう地域総合研究所（理事長：矢吹 光一）が年に１回モニタリングを実施し、KPI の達成に向け伴走型で支援して頂きます。
なお、本件は一般財団法人とうほう地域総合研究所が評価書（※１）を作成し、株式会社格付投資情報センタ