【STARTUP DB】調査結果 スタートアップ資金調達金額ランキング（2025年3月）

資金調達の概要

2025年3月の資金調達金額ランキングによると、製造業AIデータプラットフォームの「キャディ」が91億円を調達し1位になっている。これに続くのは医薬品開発の「アキュリスファーマ」で35億円、そして米国株資産運用アプリ「Bloomo」を運営する「ブルーモ証券」が20億円を調達し、それぞれ2位、3位にランクインした。全体として、この時期のスタートアップは、製造業AI、医療、資産運用といった成長分野で活発に資金調達を行っていることが示されている。特に、製造業のデジタルトランスフォーメーション（DX）や医療分野の革新が投資者から高く評価されている。

資金調達の背景（推測）

まず、キャディが注目を集めた背景には、製造業のデジタル化ニーズの高まりがある。製造業は伝統的にデータ活用が遅れていたが、最近ではコスト削減や効率化を求める声が強まり、AIを活用したデータプラットフォームが求められるようになった。また、サプライチェーンの遅延や生産性向上を図る中で、キャディの提供するサービスはますます重要視されている。さらに、グローバル化の進展により、海外市場への展開も容易になったことで、企業の成長戦略において海外進出が欠かせない要素となっている。

アキュリスファーマに関しては、日本における医療の遅れを打破する需要が高まり、競合他社の少ないニッチな市場をターゲットとした戦略が功を奏していると考えられる。特に日本特有の「ドラッグ・ラグ」問題に対する解決策を提供することで、投資者から関心を集めている。また、医療業界では新薬の承認が進む中、実際の患者ニーズに基づいた製品開発が不可欠であり、これが同社の成長に寄与している。

最後にブルーモ証券は、若い世代が資産運用に興味を持ち始めていることを背景に、使いやすいアプリを提供している。特に、自動積立投資や複数ポートフォリオ管理機能など、初心者でも気軽に投資を始められる環境を整えることで、幅広いユーザー層に支持を受けていることが挙げられる。

資金調達が成功した理由（推測）

キャディが91億円の資金を調達したのは、強力なミッションと明確な成長戦略があるからだ。「モノづくり産業のポテンシャルを解放する」という理念は、多くの投資者に共鳴し、彼らが求める未来像とのマッチが見られる。また、急成長を遂げているSaaS市場において、世界的な評価を得ていることも資金調達の後押しとなった。さらに、製造業のDXという広範な市場に直面し、次なるラウンドに向けた投資の魅力を感じさせる要素も多い。

アキュリスファーマにおいては、確かな市場ニーズに基づいたビジネスモデルが成功の要因と考えられる。新薬の開発には高額な資金が必要であり、そのリスクを理解した投資者からの信用を得ることが不可欠である。同社が実際に開発を進めている製品が、患者のニーズに合致していることを示す実績を積むことで、将来の市場価値を高める手助けとなった。

ブルーモ証券が成功を収めた理由は、そのインターフェースの使いやすさと革新性にあると言える。資産運用に対する理解が少ない層にも親しみやすいサービスを提供した結果、顧客の支持を集め、累計調達額を増やすことができた。また、様々な提携を行っていることから、シナジー効果を生み出しやすく、投資者からの信頼を獲得する要因となっている。

資金調達の参考にすべきポイント

このような資金調達の成功事例から法人経営者や財務担当者が学べるポイントはいくつかある。まず、ミッションの明確化とそれに基づくビジネスモデルが非常に重要である。投資者は単なる利益追求ではなく、社会的な意義や将来の市場性を求めていることが多い。したがって、自社のミッションを明確にし、その実現に向けた具体的な計画を示すことが資金を集める上での重要な要素となる。

次に、実績を示すことも大切だ。特に、スタートアップにおいては信頼性が求められるため、投資者に対して過去の成果や現状の引き合いを強調することで、次の資金調達への道を切り開くことができる。例えば、キャディのようにグローバルな成長を示す指標や、アキュリスファーマのように特定のニーズを満たした実績が、投資者を引き付ける。

最後に、ターゲット市場と競争環境の理解も欠かせない。市場動向や競合の状況に応じたアプローチが、資金調達の成功につながる。特に、ブルーモ証券のように若い世代をターゲットにした斬新なビジネスモデルは、市場の変化に敏感に反応する必要がある。このように、各社の成功事例から得られる洞察は、資金調達に向けた戦略の策定において非常に役立つものとなる。

このように、資金調達の結果には多くの要因が絡むが、これらのポイントを意識することで、自社の資金調達活動をより効果的に進めることができるだろう。

【STARTUP DB】調査結果 スタートアップ資金調達金額ランキング（2025年3月）フォースタートアップス2025年4月8日 07時50分4
成長産業支援事業を推進するフォースタートアップス株式会社（本社：東京都港区、代表取締役社長：志水雄一郎 以下、フォースタートアップス）は、継続的にスタートアップ動向に関する調査を行い、当社サービスである「STARTUP DB（スタートアップデータベース）」に調査結果を公開しています。今回は、2025年3月に発表された「スタートアップ資金調達金額ランキング（2025年3月）」を発表いたします。

2025年3月に発表された資金調達の金額ランキング
※3月の資金調達額の合計をランキング形式で並べました。該当月における対象企業の公式HP、プレスリリースなどの公式発表を集計しています。

1位は製造業AIデータプラットフォームを運営するキャディで、シリーズCエクステンションラウンドで総額91億円を調達しました。累計エクイティ調達額は257億3,000万円に達しました。

同社は、「モノづくり産業のポテンシャルを解放する」をミッションに、製造業AIデータプラットフォーム「CADDi」を提供。同社は、製造業のサプライチェーンやエンジニアリングチェーンに点在するデータを解析・構造化し、生産活動と意思決定を高度化することで、製造業のDXを推進しています。日本国内に加え、アメリカやベトナム、タイを含むグローバル展開を加速、T2D3を超える急成長を遂げるなど、SaaS分野においても世界トップクラスの評価を得ています。

今後は、製造業向けAI技術の開発や機能拡充、さらなるグローバル展開を推進。また、年内には製造業メーカーからの出資による追加ラウンドも予定しており、2030年までに年次経常収益（ARR）1,000億円規模のグローバルプラットフォームの構