ispace、日本政策金融公庫より9億円の資金調達

資金調達の概要

株式会社ispaceは2024年12月13日に、日本政策金融公庫から9億円の資金調達を行ったと発表しました。この資金調達は、同社が進めている月への輸送サービス事業や月面探査を後押しすることを目的としており、10年間の長期融資の形式を取っています。特に注目すべきは、この融資が劣後特約付ローンであり、業績に応じた利率が適用される点です。この特性によって、ispaceは低コストで流動性を確保しつつ、将来的な成長に向けた投資に予算を割くことが可能となります。また、この融資は金融機関の資産査定上、借入金額を自己資本として扱うことができるため、株式の希薄化なくして財務体質を強化できることも大きなメリットです。

資金調達の背景（推測）

ispaceは、2010年の設立以来、宇宙関連のビジネス、特に月面への輸送サービスの開発に注力してきました。この背景には、日米の宇宙関連産業の成長とともに、企業や政府機関が宇宙資源に対する興味を高めているという状況があると推測されます。また、ispaceは国際的に多様な事業展開を行うことで、国内外の需要に応じたペイロードサービス契約やデータサービスを提供しようとしています。このような事業の拡張は、また新たな資金調達の必要性を生む要因と考えられ、特に国の支援を受けやすい政府系金融機関からの融資は、同社の成長戦略において重要な位置を占めることになったと言えるでしょう。

また、月面市場の拡大や競合他社の活動も背景にあると考えられます。例えば、NASAのアルテミス計画に見られるように、米国をはじめとする先進国の宇宙開発への関心が高まっており、こうした背景がispaceの資金調達を後押しする要因になった可能性があります。特に、日本国内での月面探査や資源開発事業が進む中、国が支援する金融機関からの融資の必要性が高まり、その結果、資金調達が実現したと推測されます。

資金調達が成功した理由（推測）

まず一つ目の理由として、ispaceが宇宙関連ビジネスの先駆者であり、特に月面輸送サービスという新しい市場に挑戦している点が挙げられます。このような独自性や市場の新鮮さは、投資家や金融機関からの関心を引く要因と考えられ、特に政府系の金融機関である日本政策金融公庫からの融資実現に寄与したと推測されます。

次に、業績に応じた利率の適用や長期融資の形式など、融資の条件が極めて柔軟であったことが成功の要因と考えられます。資金調達にあたる企業は、資金調達後の成長の不確実性を抱えることが多いですが、こうした条件がispaceのリスクを軽減し、資金使途をより幅広く計画できるようにしたと仮定できます。

さらに、ispaceは既にいくつかのミッションを成功させており、その業績を金融機関に示すことで信用力を高めることに成功したと考えられます。特に、ミッション1の成功事例は、実績として機能し、今後の計画の信頼性を補強した可能性があります。

資金調達の参考にすべきポイント

資金調達の成功例から、法人経営者や財務担当者が参考にすべきポイントはいくつか存在します。まず、独自性のある事業モデルを追求することです。ispaceは宇宙事業という特殊な市場に焦点を当て、そのユニークなビジネスモデルが金融機関の関心を引く要因となりました。同様に、他企業もニッチ市場での事業モデルの確立を目指すことで資金調達の可能性を高められるでしょう。

次に、長期融資の活用について考えることが重要です。短期的なリターンを追求するのではなく、長期の視点で資金を調達し、それを成長投資に回すことで、企業の財務基盤を強化できるという点は、ispaceの事例から学ぶべき重要な教訓です。

また、融資を受ける際の条件設定も重要です。業績に応じた利率や柔軟な返済条件など、金融機関との交渉において条件を最適化することを目指すべきです。このような条件設定が、長期的な成長を支えるための鍵になるでしょう。

最後に、過去の業績や成功事例を示すことの重要性も忘れてはなりません。信頼性を高めるためには、具体的な成果を持参して金融機関との交渉を行うことが極めて重要です。特に、事業に対する信頼感を提供するデータや実績を用意することで、より良い条件の融資を受けられる可能性が高まります。これらのポイントを実践することで、法人経営者や財務担当者は資金調達の成功確率を高められるでしょう。

ispace、日本政策金融公庫より9億円の資金調達宇宙関連上場企業への初の融資で、月への輸送サービス事業の確立及び月面探査を後押し株式会社ispace2024年12月13日 16時01分8 株式会社ispace（東京都中央区、代表取締役：袴田武史、以下ispace）（証券コード9348）は本日、日本政策金融公庫を借入先とした劣後特約付ローンによる9億円の資金調達を行うことを、取締役会において決議しましたのでお知らせいたします。本調達は10年間の長期融資で、同庫による宇宙関連の上場企業への融資は前例が無く、ispaceは国内初の調達事例となります。
ispaceは複数ミッションの開発を同時並行で進めており、このたびの劣後特約付ローンによる資金調達は、業績に応じた利率が適用され、且つ10年間の借入であるため、低コストで長期の流動性を確保でき、成長に向けた投資への分配が可能となります。また、金融機関の資産査定上、借入金額を自己資本とみなすことが出来るため、株式の希薄化なしに実質的な財務体質の強化が見込めます。

■調達概要
※上記は本件決議日現在での情報・予定です。
■ 株式会社ispace 取締役CFO 事業統括エグゼクティブ 野﨑 順平コメント
「このたび、政府系金融機関である日本政策金融公庫からご融資を頂けることとなり、とても嬉しく思います。2010年の会社設立以来、国内では前例のない月面への輸送サービス事業の開発を進めてきたispaceとしては、今回の事例は、期待の高まりであり、新しいことへの挑戦や未開拓、宇宙事業の成長に拍車をかけることとなると考えます。この追い風に乗って、シスルナ経済圏構築に向けた事業推進を着実に進めてまいります。」
ispaceは、日・米・欧の3法人でそれぞれの地域の文化や多様性を活かしながら、1つの統合的なグローバル企業として宇宙開発を進めて